40名余の人生と向き合った10年 〜「グランリビオ表参道」、建替えという挑戦〜
住宅事業本部 賃貸住宅部
賃貸営業第一グループ
木村 優希
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日鉄興和不動産株式会社
住宅事業本部 開発推進部
開発推進第一グループ マネージャー 兼
開発企画本部 マンション再生部 マネージャー
亀山 周人
「表参道」駅徒歩7分、「渋谷」駅徒歩6分。
誰もが羨む地に誕生した「グランリビオ表参道」。
しかし、この名作リビオが誕生するまでの道のりには、様々なドラマがありました。
40名余の権利者様と10年にわたり向き合い続けた日鉄典和不動産。
プロジェクトそれぞれのフェーズを担当した串山氏と木村氏に話を伺います。

【INDEX】
1. 権利者様一人ひとりに寄り添い、マンション生を果たすパートナー
2.グランリビオの真価とは、細部にこそ宿る、本物の価値
3.建替え事業を通して生まれた絆、名作マンションの完成へ
4.日鉄興和不動産の一員として、リビオの未来へ
1.権利者様一人ひとりに寄り添い、マンション生を果たすパートナー
実績への信頼がつないだ縁―40名余の権利者様と歩んだ建替えへの道―

亀山:「グランリビオ表参道」は、1961年に竣工し、築60年を迎えた旧金王アジアマンションの建替えによって誕生したマンションです。当社がこのプロジェクトに参画した経緯として、同じ渋谷エリアで当社が協力した建替え事業が評価され、権利者様からご紹介いただいたことがきっかけです。権利者様の経済状況や価値観、暮らし方は十人十色であり、その中で建替え決議成立に必要な5分の4以上の賛成を得るのは容易ではありません。一人ひとりと向き合い、何度も対話を重ね、皆様のご要望に応えながら事業を進めていきました。その長い道のりの中で大切にしたのは、権利者様の小さな声も見逃さずに吸い上げることです。建替えに消極的な方もおり、何を懸念し、不安がどこにあるかを面談を通して確認しました。設計計画においては、権利者様がこの街を熟知していることもあり、買物や通勤・通学といった日常生活を通して、どこにエントランスがあると便利かといった生活動線に至るまで、ささいな会話からヒントを得ることを心掛けました。一方で、私たちは不動産のプロとして、将来的な資産性や管理のしやすさも重視し、マンションの価値が最大化する最適解を探りました。

加えて、当初社内で高額マンション事業強化のミッションが掲げられていたこともあり、この物件を社内ではもちろん、都心マーケットの中でも話題になるようにしたいと強く思い、経験が浅いながらも、様々なプロの方のお力を借りながら形にしていった次第です。
実は、本物件を「グランリビオ」へ格上げすることになったのは実施設計後でした。新たなデザイナーを起用し、設計の一部をやり直す必要もありました。権利者様の理事会で、この大きな変更を説明し、承認を得なければならない。グランリビオにする事がどう皆様の資産価値につながるのか。良いものをつくれば、必ず未来の豊かな暮らしにつながるとご説明しました。会社の大きな転換点で責任を果たせたことは、私にとって大きな経験となりました。

2.グランリビオの真価とは、細部にこそ宿る、本物の価値
―街への想いをカタチにした商品企画―
変わらない住まいとしての価値を維持しつつ、渋谷・表参道らしい遊び心を感じられる物件にしたいと考えました。デザイナーの方にそんな想いと本物件の建替えの経緯をお話ししたところ、「この場所が60年残っていたのは奇跡。その軌跡をカタチにしたい」と共感してくださって。言葉遊びではあるのですが、そこから“貴石(きせき)”というコンセプトが生まれました。
まずは貴石のように変わらない価値を維持できるよう、一般的に邸宅と呼ばれるような建物で守られている型を本件に落とし込みました。例えば、重厚感を持たせた基壇部、道路から少し奥まったアプローチ、風除室前にゆったり庇を伸ばすなど。また、時間を味方につけてより魅力が深まっていくよう、共用部の中でも特に重要な部分は「石のように見えるタイル」や「木のように見えるシート」ではなく、できるだけ本物の素材を使用しました。
一方で遊び心の部分では、本件の経緯をモチーフとしたアートを作家さんにご制作いただき、随所に配置しました。各階のエレベーターホールは、全て異なるデザインのアートを配置しています。また、エントランスから見えるアートはMIYASHITA PARKを手掛けた方にご制作いただき、入り込んだ光が乱反射してデザインを再構築している点が、再生をイメージしています。また、大理石の模様をアートに見立てた場所もあります。
高額マンションにお住まいになる方は美しいものを見慣れていると思い、そんな方にとって自分だけの貴石を見つけた気分になるよう、オリジナリティを大切にしました。

(下)ラウンジ(2024年7月撮影)
―権利者様と共につくる新しい価値―

―妥協なき品質への挑戦―
目に見える部分の話で言えば、これだというものに出会えるまで膨大なサンプルに目を通したり、美しくない部分がなるべく目立たないような収め方を検討したり、外構に植えるにふさわしい木を選びに1日かけて山奥まで行ったり。
使い勝手の話で言えば、少しでも空間が広く使えるよう扉の開閉方向を検討したり、安心と便利が両立したセキュリティ計画を詰めたり、適切に空調が行き届くよう微調整したり。
リビオは、お客様の入居後を考え抜くマンションブランドですが、お住まいになる方の入居後の生活をできるだけ鮮明にイメージしながら、常により良くできる場所はないか考えていました。
実は竣工1年後に、本物件にお住まいの方のご自宅へ訪問調査に伺う機会があったのですが、お客様から、「キッチンカウンターがとても便利。妻が料理するのを見ながら仕事をすることがコミュニケーションの時間になっている」というお話を聞いた時、時間をかけて工夫して、本当によかったと感じました。小さな積み重ねが、お客様の日々の幸せにつながっている―――そう身をもって感じた瞬間でした。

3.建替え事業を通して生まれた絆、名作マンションの完成へ


4.日鉄興和不動産の一員として、リビオの未来へ
マンション建替えは合意形成の複雑さや煩雑さから他社が尻込みする事業ではありますが、人と向き合うことを大切にしてきた当社は、マンション再生に高い親和性を持っています。その結果、業界トップクラスの実績につながっていると考えます。マンション建替えは一筋縄ではいかず、様々な課題に直面します。これらの課題を解消するためには、柔軟性と傾聴力、そして新しい解決策を導き出す思考力が必要です。当社の社員はこれらの力が自然と身についている方が多いと感じますし、これこそが当社のDNAだと考えます。

木村:私は小さい頃から住宅をつくる仕事をしたいと思い、大学で建築を学び、デベロッパーを志望しました。その中でも当社は、お客様とのコミュニケーションで得た知見を次の商品開発へ誠実に生かしている事が伝わってきました。自社のノウハウのみで商品企画を完結してしまうのではなく、お客様との信頼関係を築き上げ、その延長線上にモノづくりがある姿勢に惹かれました。今は別の部署にいますが、「グランリビオ表参道」で学んだことは今も活きています。お客様の暮らし方を知って、一人ひとりの人生を豊かにするために考え続ける。この繰り返しが、私の仕事の基本になっています。
今後も全ての社員が徹底した顧客視点での商品開発を継続することで、リビオがいつでもお客様に選んでもらえるブランドに育っていけばなと思っています。
